約1年前に発表されたSalesforce.comが提供するアプリケーション開発環境・動作環境「Force.com」。
Salesforce.comは「SDKを配布するからインストールしてアプリ開発してね」ではなく、アプリケーションの統合開発環境・テスト環境までもWeb上に乗っけてきました。統合開発環境のSaaS化です。アカウントを取得すればブラウザを起動するだけでSalesforce.comのクラウド上でアプリ開発可能です。
しかも既に実用化・収益化できています。Salesforce.comの強みであり、他社がなかなか追いつけない要素の1つでしょう。
はじめて知ったときは、何てスゴイモノを作ったんだ!と驚愕しました。
しかし・・・
プログラミング言語が「Apex」という独自言語なのが惜しいところ。
中身を開けてみればJavaに似ているし、シンプルで覚えやすいのですが・・・
開発者の視点から見るとどんなにカンタンでも「新しい言語を覚えなくてはいけない」というだけで壁が1枚できるものです。
「マルチテナント」と「安全性」を両立するためには、Salesforceのプラットフォームのコア部分が動いているモノ(ここはJavaです)を共有させるわけにはいかず、もう1層上にVM(のようなモノ)を乗っける必要があることは理解できます。
でも、そこがJavaであってもいいはず。
やはり、過去のSunと他社との経緯を無視できなかったのでしょう。
Sunは、Java標準仕様に独自の拡張や独自の制約を設けることに関しては煩いですから。
MicrosoftはJavaに独自の拡張をしたためにSunに訴えられ、長い法廷闘争の末にJava2以降の実装を許されなくなりました。
最近では、GoogleのAndroidも独自のアーキテクチャゆえ、SunとGoogleの間で少し揉めました。
そんなわけで、Sunが進めているProject Carolineには注目しています。SunはProject Carolineで、JavaによるPaaSを実現しようとしています。
Sunの中の人に聞いた限りでは、Project CarolineがSunのクラウドコンピューティング戦略のメインストリームというわけでもなく、SunのPaaSはProject Carolineで行くと決まっているわけでもなく、ただの研究開発プロジェクトの1つでしかない、ということですが・・・
将来的には、EclipseもSaaS/PaaS化したいという噂もちらほら。
Amazon/Oracleあたりで、Xenベースのオープンなアーキテクチャなクラウドコンピューティングという流れもあります。
これらが実用化されたらForce.com/Apexやばいかも。
今はSalesforce.comが先行しています。他社が追いつくまでに時間がかかるので、その間にデファクトを握ってしまおうという方針でしょうか。
それとも、オープンなアーキテクチャへの大幅な方針転換の可能性も視野に入れているのでしょうか。
個人的には、Force.comのプログラミング言語がJavaになってくれたら言うことナシです。
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